深海魚が大好きです。
むしろ愛してるといっても過言ではない。あのグロテスクな外見も、生態に不明点が多いミステリアスなところも、深海という過酷な環境でも
逞しく生きるタフネスさも、一気に引き上げると破裂する儚さも、何もかもが好きと言ってもいい。
そんな俺ですが、そこまでになってしまうと当然、食ってみたいという欲求も湧き上がるわけで。
その欲求が有頂天となった先週の金曜日、無理矢理休日にでっち上げて静岡は戸田まで行ってきました。
移動手段は車であり、車を出してくれた友人には感謝の一言に尽きるのだわ。
横浜近辺から出発して、高速使って大体2時間半ってところ。
沼津までは1時間ちょっとだけど、そこから戸田までが遠かったり険しかったりで色々と大変。
店の真ん前にある戸田のバス停、そしてエメラルドグリーンも眩しい食堂外観。
バスでも来れるけど、時間にしたらどれくらいかかるんだろうか。
電車で沼津→修善寺までバス→修善寺から戸田までバス って流れになりそう。
名物ということを示すように、深海魚料理をアッピルする看板やらお品書きが。
店の名前は
魚重食堂。そして店の前にはメニューの写真。
パッと見、古くからあるイカニモ系の定食屋って感じですが、この中で深海魚の宴が始まるというのか。
そんな期待に浮き袋を膨らませつつ入店。
テーブルにメニューは置いておらず、所狭しと張られたメニューを吟味して注文する仕様。
お目当ては深海魚の刺身ですが、どれが一番いいのか悩む悩む。
出来れば「げほう」なる深海魚が含まれるメニューが望ましいけど、げほうは10月後半辺りからと
聞いていたので、無いかしらと思ったら、深海魚定食に含まれてると分かったので注文。
もうひとつ気になってた深海魚の天ぷらもあわせて注文。
どうでもいいけど、カウンターの下のほうに貼っているポスターには駿河湾で獲れる深海魚一覧が
載っていましたが
「深海紳士録」というエスプリの付いた名前がなんともセンス溢れる。
店内に張られた深海魚のエロ写真や、深海魚漁の開始告知を見つつ出て来るのを待つ。
ヒュ―――――ッ! 見ろよコイツの姿を……まるでエイリアンみてえだ!しかも海老もあるし他の魚もあるし、更には付け合せ小鉢がたっぷりじゃねえか……!
こいつはすげえかもしれねえ!
この刺身はげほう、めぎす、赤海老で構成されてる模様。
もしかしたら、ヒウチタイも入ってるかもですが、細かく聞いてないので不明。
小鉢はイカの塩辛、豆腐、漬物、グレープフルーツで、味噌汁は魚のアラで出汁をとった的な味。
んで、
結論から言ってしまえば実に美味い。全体的に身が締まってて、淡白でクセがなくて食べやすい。更には鮮度も良いので生臭さ等も無し。
外見こそアレだけど(俺にとってはご褒美)、中身は本当に上玉の魚と言えましょう。
グロテスクなのに美味い、むしろグロテスクだからこそ美味と言えるのかもしれぬ。
その理論で行けば、電車の席の両隣が高確率が空くプログロメンの俺なんて三ツ星クラスなのでは。
淡白と書いたけど、手前にある、めぎすの刺身はやや脂分多し。
感覚的にはイワシをもっと白身魚寄りにしたってところかしら。
赤海老は甘海老にそっくりだけど、甘海老よりも甘みが少なく、身がもっと詰まってるような感じ。
いかにも新鮮です! と言わんばかりのツヤツヤプリプリ具合が実に堪らない。
あと、小鉢に入ってるイカの塩辛がシンプルながらも素晴らしく美味い。酒が欲しくなって困る。
ご馳走様でした! ってところで気付いたけど、
大根と楊枝で形を固定するという小技が。 単なる田舎町の定食屋と思っていたけど、味といい量といい、見栄えといい、すげえレベル高い。
値段についてもこれだけあって1500円だし。
ただ、
刺身や小鉢の量に対してご飯が少ないのがネックと言えるかも。
お代わりについて聞こうかとも思ったけど、お代わりしたら食いきれない可能性があったのでパス。
ううむ、着実に進む小食化が実に憎たらしい。
それにしても、深海魚というものは本当にグロ可愛くて堪らん。
この無駄にギョロギョロした眼も、エイリアン的な口元も、毛が生えたような表皮も魅力的すぎる。
味の点でも良かったけど、これだけ近くで深海魚を観察できたのが何よりも嬉しかったわ。
ううむ、一度でいいから
デイリーポータル的に漁船に乗って取れたての深海魚を観察してみたいものだわ。
刺身ばかりに気を取られてしまいましたが、
天ぷらがこれまた絶品。 のどぐろとめぎすが材料っぽいですが、丸揚げになってるほうはトロリとした身が特徴的。
当然骨まで食えるステキ仕様。深海魚であっても肝の苦さが堪らなく美味い。
もう1つのほうは開きになっていましたが、こうなると深海魚とは絶対に分からんなあ。
ちなみにどちらも塩をつけて食った。てっきり天つゆが出てくるものだとばかり思ってたのに。なんと粋な。
帰りがけに見たおみやげ品。そしてもう1つの名物・タカアシガニ。
めぎすの丸干しは再訪することがあったら絶対に買っていきたい。
この日は店員のおばちゃん持つかどうか聞いたけど、帰るまで持たなそうだったので購入は断念。
クーラーバッグ的なものがあれば問題ないよとのことなので、そういうのを装備して行くとしよう
タカアシガニはあの辺の特産品の1つなのですが、量を考えるととても注文できぬ。
最低でも4人はいないと、小さいのですら食いきれないんじゃなかろうか。
そんなリア充的人数で出向くのは難しいので、俺の中では幻の食材と化しそうだ。
機会があれば逃さず食ってみたいところですが。出す店は結構多いみたいだし。
以上、深海魚料理童貞の喪失記でありました。
見て良し食って良し撮って良し、深海魚さんは食材の見本みたいな優等生やで……。
この店以外にも深海魚を出す店があるとの事なので、色々と探してみたいところであります。
深海魚料理 魚重食堂
静岡県沼津市戸田303-5
火曜・年末年始定休 11:00~15:00 17:00~19:00関連リンク
■
深海魚写真集『深海』(Amazon)■
[新世界]透明標本~New World Transparent Specimen~(Amazon)
■
幻の深海魚、ドギ5kg(楽天)
■
戸田漁業協同組合直売所■
【宝は駿河湾深海にあり!】http://members.jcom.home.ne.jp/vampirdzhija/2009-9.html#090927-8より抜粋。
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